~理論で終わらせない 実務で使うMBSE~

MBSE入門

中級者向け

前回記事航空宇宙分野で必須の技術。それはMBSE(#1)では複雑な情報を正しく構成するための技術としてMBSEを紹介しました。

今回はより複雑な情報を分類、整理しながらMBSEの必要性を確認したいと思います。

必要とされる複雑な情報管理

航空機の開発(型式証明が求められるような機種開発)では複雑な情報管理が必要となります。

航空機は現実空間(社会環境)で運用・運航されるものとなりますが、安全基準には社会環境がパラメータとなるものもあります。

例えば、バードストライクの安全要求・基準に対し、鳥のサイズや評価方法はどのように決めたらよいのでしょうか?

基本的には飛行する環境における最も悪い条件を合理的に考え、設計・評価に反映させる必要があります。

システムを分割して検討

このような複雑な情報を管理するためのMBSEを実践していくためには、ものづくりに関係するシステムをいくつかに分割して考えることが多いです。

ここでは以下3つに分けて考えます。

1.設計物そのもの(航空機システム)
2.設計を行うためのシステム(開発のためのツールやメソッド等)
3.設計物が存在する社会システム(安全規格、社会環境パラメータ等)

これらは、密接に関係させながら、それぞれを真摯に設計し、全体を組み立てていく必要があります。

1.設計物だけでも十分に複雑な情報になりますが、3.社会システムも同様に設計の中で管理していくということ(しかも1と3は密接に接続関係がある)は相当に複雑な情報管理が求められることが確認できたと思います。

では、このようなMBSEをうまく使いこなすにはどのようなアプローチが必要なのでしょうか?

MBSEを用いた実践的なものづくりアプローチ

ものを創るということをMBSEで解釈するとどうなるのでしょうか?

以下例にて考えたいと思います。

・型式証明を取った航空機を創る、との想い            →「フワフワしたもの」
・実現のための設計をする                                         →「理解」

言葉を整理すると「フワフワしたもの」を「理解」し [情報]を作成する、とも表現できます。

整理のために[情報]とのキーワードを出しましたが、MBSE実践では設計情報を作っていくことになるため必要な要素となります。

MBSE:Model-based systems engineeringを考える場合、モデルで行うシステムズエンジニアリングという用語からも、重要なモノは[情報]であろうと考えがちです。
ただ実際には前段の「理解」にこそMBSEの本質が潜んでいます。
「理解」をMBSEの技術用語で表すと「セマンティック」「オントロジー」「メソドロジー」等が該当します。

平易な言葉で表現すると、人と理解しあえるか、人の設計がコンピュータにとって情報として相互理解可能か、等が含まれます。

このような「理解」を妥当に行うためには何が必要なのだろう、との視点がMBSE実践を進めるために必要なアプローチとなります。

様々な「理解」を束ねる仕組み

例えば、現代の航空機開発は国を超えて複数のステークホルダが協働しながら行っていきます。

「理解」が共通的に行えるプラットフォームが必要となり、MoSSEC等の仕組みが構築され始めています。
このような仕組みを使うためには、その背景にある「理解」を考えることが必要になります。

例えば「理解」は誰と誰の間で発生するのだろうか、「理解」を妥当な形で表現するためにはどのように方法を用いるべきか等、1つの設計要素への着目ではなく、より幅広い世界の中で存在する技術要素を見ていく必要があります。

航空宇宙防衛分野におけるMBSE活用、サイバネットMBSEがお手伝いします

ここからは私見ですが、MBSEの嬉しさは常に広い世界を意識できることではないだろうか、と考えています。

VUCA時代において、作るべきものを見失う事が開発行為においての大きなリスクになっていますが、そのような世界においても助けとなる技術がMBSEだと考えています。

サイバネットMBSEでは、航空宇宙防衛分野におけるMBSE活用をご検討なされているお客様を支援するために、専門チームがこの分野におけるMBSEソリューション提案を行っております。

具体的な事例を知りたい、解決したい課題がある、等ございましたら、ぜひお問い合わせください。

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