初心者~中級者向け
MBSEの三本柱とは?
MBSEに取り組んでいると色々な情報・知識がでてきますが、なかなか体系化しにくいと感じることもあるかと思います。そんな悩みへの答えとして、以下の書籍ではMBSEの三本柱との表現で分類を示してくれています。
L. Delligatti, SysML Distilled: A Brief Guide to the Systems Modeling Language. Addison-Wesley, 2013.
MBSEを仕事で使う上で、とても納得感がある内容でしたので紹介させてください。
書籍内の「1.2 The Three Pillars of MBSE(MBSEの3つの柱)」では、
● モデリング言語 以下、「言語」
● モデリングメソッド 以下、「メソッド」
● モデリングツール 以下、「ツール」
が三本柱であると説明しています。
それぞれの大まかな説明ですが「言語」は、代表的なものとしてSysMLがあります。「メソッド」は、どのようなプロセスでものづくりをするのかとの流れを示すものです。SysMLは教科書的に使うだけでは、なかなかモノづくりの現場では使いこなせません。何を設計し、どのようなモデルとするのかを定めたものが「メソッド」になります。最後の「ツール」は、そのままモデリングを行うソフトを指しています。実際の書籍内ではより詳しく説明されています。また書籍のメインテーマは「言語」となりますので、SysMLにご興味のある方はぜひご一読いただければと思います。
サイバネットMBSEでの三本柱
さて、ここからは弊社と三本柱とのかかわりを説明したいと思います。
「言語」の利用についてですが、日常的にSysMLを活用しながら、新しいSysML2.0等への取組も行っています。「言語」としてはMBSEとその他分野の境界線に存在するものかもしれませんが、MBD(Simulink, Modelica)とMBSEを連携するSysPhSを活用した事例(こちらの事例についても弊社Webで紹介予定です)もあります。また、言語を創る活動として、リスク評価や安全対策をモデリングするためのモデリング言語「SafeML」(SysMLの拡張)のRRI(※)での言語仕様策定活動に、弊社社員がメンバーとして活動・貢献しています。
次に「メソッド」についてですが、サイバネットメソッドという「メソッド」を持っています。レイヤ構造と各レイヤ内で抽象化、具体化を実施するメソドロジーとなっており、複雑なシステムの開発に適用することが可能です。
最後の「ツール」ですが、モデリングツールについてはお客様のご都合にあわせ様々なものに対応可能です。同時に、自社ツールとして「MapleMBSE」と「MapleDOE」を有しています。それぞれの特徴は、ぜひ弊社Webからご確認いただければと思いますが、両方ともExcelから利用できるツールとなっています。日常的によく使うExcel環境からMBSEやMBDの技術が利用できるため、より利用しやすさのある開発環境に繋がると考えています。
MBSEの三本柱は、どれかが存在しないと実現できません。逆に多少不十分であっても他の柱とバランスがとれていれば成り立つことも多いです。会社の業務としてもそれぞれのバランスやトレンドにあわせて変化する必要があると考えています。
またMapleMBSE、MapleDOEを開発するツールベンダとしての立場においては、お客様がお使いの「言語」や「メソッド」からくる要望にも対応していくことが望まれます。ぜひ「ツール」へのご要望含め、ご意見をお待ちしております。(三好)
※ “ROBOMECH Journalに投稿したWG活動の論文が掲載されました,” Robot Revolution & Industrial IoT Initiative(RRI). https://www.jmfrri.gr.jp/info/rri/4526.html (accessed Jun. 21, 2023).